ごきげんよう、ライターでアマチュア・ヴァイオリニストの愛(@ai_writer)です。
フランツ・リストという作曲家は正直、あまり好きではない。
私の中の彼のイメージは「技巧的で俗っぽい気取り屋」。
もちろん、曲は聴いたことがあるけれど、技巧的なところばかりが目立ってそれが鼻についた。そして、きれいだしドラマチックだけれど、俗っぽい…という印象が聴いていて拭えなかった。
なので、なんとなく縁遠い作曲家になっていて、縁遠い作曲家のままでもいいと思っていた。
なのだが、所属するオーケストラでリストの交響詩「前奏曲(レプレリュード)」をやることになって、好きじゃないし、縁遠いし…といってるわけにもいかなくなった。
ただ、やると決まったら、縁遠い作曲家で、どんな楽譜を書く人なのかも全然予想がつかなかったので、逆に楽しみになっていた。
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レプレの楽譜、今から一か月ほど前に受け取って、2週間くらい前から譜読みを始めてみた。
読んでみた楽譜はある意味思っていた通り。
超絶技巧のピアノ曲を書いたことで知られるリストの楽譜は、やはり、というか技巧が求められる楽譜だった。
とはいっても、超越した技術が必要というよりは、きちんとした演奏の技術、テクニックという意味での技巧が必要…という感じの楽譜。
あくまでも、バッハやハイドンの時代に確立された基礎的な音楽の展開に基づいた技巧で、秩序もなんも無視して空中回転しろ…みたいな技巧ではなかった。
なので、いざ練習してみたら、ピアノの教則本にのってる難しいエチュードを練習しているような感覚があった。
とはいっても、決して技巧エチュードにはとどまっていない、木管のきれいなソロや金管の華々しいファンファーレが響くところもあり、牧歌的だったり、華々しかったり、ドラマチックだったり、15分強の中でさまざまな表情が詰まっていて、そのあたりも弾いていて面白かった。
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私のリストに対する技巧的で俗っぽい…というイメージは、レプレを弾いてみても、正直やはり変わらなかった。
実際、バッハやハイドンが確立したクラシックの流れを受け継ながらも、バッハやハイドンのそれよりもやはりずっと俗っぽいと感じていた。
なんというか、技巧のすごさを見せつけつつ、ドラマチックな音楽で大衆を引き込もうとする良くも悪くも欲とか色気みたいなものが、曲から感じられて、おそらく、彼は野心やプライドが強い人だったんだろうなと思った。
ただ、それでも、「レプレ」はいい曲だと思ったし、曲の完成度の高さに実際触れてみて、さすが音楽の歴史に名を遺す巨匠だなと、そこはしっかり認める気持ちになった。
たぶん、すごく好きになることはないだろうけれど、あなたの音楽は十分楽しめそうな気がする。
昨日、オーケストラで「レプレ」の初合奏があった。
小さいころヴァイオリンのレッスンで教則本に載っているちょっとした曲、抜粋などはやったことがあったかもしれないけれど、それを別にすれば、リストの曲を本格的に演奏したのはこれが初めて。
難しいなとは思ったけど、思っていたよりは楽しめた。
次回の演奏会のプログラムで全く初めて演奏するのは、この「レプレ」だけ。
この夏は、今まで縁遠かったフランツ・リストといまだかつてないほど向き合うことになりそうです。
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