メルヘン倶楽部の思い出ー「コール&“ブス”ポンス」って今の時代だと怒られるんだろうか

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かつて、吉本興業に所属していた「メルヘン倶楽部」というお笑いコンビがいました。

トレンディエンジェルやオリエンタルラジオやはんにゃ、フルポンなどの同期。花の10期と名高いNSC10期生だったメルヘン倶楽部。『エンタの神様」に出ていたので、覚えている方もいるかと思います。

舞台に立つときは基本女装で、妖精界からやってきたタクピョネス(たくちゃん)&クニファニー(くにちゃん)と名乗っていたメルヘン倶楽部。

芸人さんの女装は、人によっては長い時間見てるのがきついときもありますが、たくちゃん・くにちゃんは、本人たちのもともとのかわいらしさ、愛らしさのおかげか不思議と受け入れられてずっと見ていられました。特にくにちゃんは、ああ、こういう女の子実際いるよねって思えるくらいすごく自然に女装がはまっていましたね。

そのメルヘン倶楽部が、渋谷の∞ホールで行われていた「シチサンLIVE」を開催したときのこと。

※シチサンLIVE
東京都渋谷区のヨシモト∞ホールで2009年から2010年まで行われていたお笑いライブ。人気若手芸人がトーク・企画をすべてセルフプロデュースし、各曜日隔週でのレギュラー芸人が、ゲストを交えて様々な企画に挑戦するライブ
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

女装が本当にかわいいくにちゃんに対して、メルヘン倶楽部の「ブス」「ブサイク」担当だったのはたくちゃん。意外と毒舌なくにちゃんがたくちゃんをブスいじりするのが、このコンビのお約束みたいなとこがありました。

そして、シチサンLIVEで、くにちゃんが仕掛けてお客さんとともに行ったコール&レスポンス。

くにちゃん「say、ブース!
お客さん「ブース!」
くにちゃん「ブース!
お客さん「ブース!」
くにちゃん「ブ・ス・スー!
お客さん」ブ・ス・スー!」

くにちゃんとお客さんが一緒になってたくちゃんをブサイクいじりしたこれ。私は配信で見てましたが、だいぶ笑いました。終わってくにちゃんが「コール&ブスポンス」と締めたのもかなりツボった。

これ、けっこう前の話なんですが、いまだに覚えてるってことはつまり面白くて楽しかったんですよね。

昨今、人の容姿をいじったりルッキズム至上主義はやめようみたいな流れになってきている。たしかに、人の容姿を悪く言うのは基本的にはいいことじゃないし、私自身、ルッキズム至上主義にうんざりしたことが何度もあります。

ただね……お笑いの世界となるとまた話はちょっと違ってくるんですよね。

お笑いはそもそも自身のみっともないとこ、はてしなく駄目なところやしょうもなさを見世物にしていく仕事。大昔から、ブサイクぶりやらクオリティ低すぎる女装やらを武器にしてめちゃくちゃおもしろかった芸人さんはたくさんいます。

なので、芸人のブサイクいじりを悪意がある容姿の悪口と一緒くたに扱うのはちょっと違う気がしてしまうのです。それは、むしろお笑いのお笑いたる面白さの芽をつんでしまいかねなくて、心配になっています。

メルヘン倶楽部の「コール&ブスポンス」も、お客さんは悪意を持っていたわけではない。当時、ブス女装キャラでやっていこうと覚悟して、ブスいじりもどんと来い!みたいな感じだったたくちゃんの心意気をわかっていて、プロ意識の高いたくちゃんが好きなファンたちからの愛がこもったエールでもあったと思います。

メルヘン倶楽部、既に解散していて、たくちゃんもくにちゃんも芸人をやめたと風の噂で聞きました。女装に絶妙なかわいらしさがあって好きだったあの二人。今でも「コール&ブスポンス」とともに思い出します。

もし、今だメルヘン倶楽部が現役でやっていたとして、「コール&ブスポンス」をやったら世間から怒られるんだろうか。だとしたら、ちょっと悲しいですね。

メルヘン倶楽部のたくちゃん、くにちゃん、今更だけどすごい好きでした。今も元気でいてくれるといいなあ。

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この記事を書いた人

映画、音楽、文房具をこよなく愛するフリーライター。趣味はヴァイオリン。
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