「#POWER RANGER S.P.D .」に見るエリートの未熟さと差別意識

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ごきげんよう、ライターの愛です
さて、改めて、「パワーレンジャーS.P.D」の話ですが、
この作品、ほんと予想していた以上に面白いですね。

「POWER RANGER S.P.D .」アメリカ側が作るドラマの部分が面白い

何がおもろいかというと、ずばり、アメリカ側が作っている。ドラマ部分。
さすがに「ER」とか作ってる国ですよね。

普段日本の特撮見ながら、「作戦の規模ちいさっ」とか、「怪人やられるのはやっ」とか、
突っ込んでばかりの私が、その類のツッコミをほとんどいれておりません。
キャラクターたちのセリフ、行動の展開にそういう安易さがなく、きちんと作りこまれているから。

あと、地球人も宇宙人もみんな共存している世界設定なのがいい。
個性的な宇宙人たちは、まるで魔法の国の住人達。
「指輪物語」や「ナルニア」に出てきそうな宇宙人もときおりあらわれて、
これは、ファンタジー好きにはたまりません。
さすが、「オズの魔法使い」とか作ってる国ですね。

そしてです。
5人の戦士・レンジャーたちのキャラクターの対比がなかなか興味深い。
特に気になるのは、ブルーレンジャーのスカイです。

※この先、お話のネタバレあり

ブルーレンジャー・スカイの問題性

ブルーレンジャーのスカイは、レンジャーのサブリーダー的存で、かつてレッドレンジャーだった父を持つエリート。

5人の中で一番「すごい」「優秀ね」ってほめられた人生を歩んできている青年です。

しかしですね。
あきらかに彼は5人の中で一番未熟で問題児です。

真面目で能力も高い優等生。
しかし、それだけに、融通がきかなくて杓子定規。
そして、エリート意識が強いせいか、差別的な言動が少なくありません。

自分がレッドレンジャーになれなかったことが納得できなかったり
仲間であるジーの特殊能力をけなしたり、
シドニーの誕生日パーティーに一人だけ制服だったり。

つまりは、チームワークを乱したり、判断をあやまったり、空気が読めなかったり、そういうことばかりしてるんですね。

レッドレンジャー・ジャックは、苦労してる分だけ、酸いも甘いもかみわけるしなやかさがあるし、
グリーンレンジャー・ブリッジは、ひょうひょうとしてマイペースを崩さないおかげで、他のメンバーが気が付かないような意外な事件のカギを鋭く見抜くことができる。

女の子たちもしかり。
イエロレンジャー・ジーは、一見、皮肉屋ですが、温かい心の持ち主。
自分同様特殊能力を持つ孤独な少年と友達になろうとしたり、ラボで働くブームが両親に自分がレンジャーだと偽っているのを知ったとき、真っ先に彼の嘘を守ろうとしたのも彼女でした。
ピンク・レンジャー・シドニーは苦労知らずのお嬢さんぽい雰囲気ですが、自分を助けてくれたロボット犬リックをスクラップにしないでと望んだり、自身の誕生日を知らないというジャックに自分の誕生日をシェアして一緒に祝おうとしたりと、素直でやさしい女の子です。

この物語では、自分と人が違うからといって、差別したり、偏見を持つべきではない
というのが、テーマの一つになっている気がします。

レンジャーは全員特殊能力の持ち主なんですが、
それゆえに、差別されたり、偏見の目で見られたりして、苦しんできたメンバーもいる。
分身能力を持つジーは、能力に開眼したとき、悩んだことを話していました。

他の4人は、偏見で人を決めつけバカにすることはあまりないんですが、
スカイだけは別。
エリート意識という名の選民意識を持つ彼は、杓子定規に周りの人たちを差別してしまうときがあります。

今週、配信の第15話で、スカイは新人士官のソフィーを、サイボーグだという理由だけで、基地に害をなすものと決めつけて、基地から追放。

しかし、スカイが得意げにそれを話した時、ボスのクルーガーは
「サイボーグというだけで、敵と決めるのは間違いだ」と、ぴしゃりと一喝。

その後、ソフィーを探しに情報屋ビッキーの店を訪れるレンジャーたちですが、
この店でも、スカイは宇宙人たちを「モンスター」と差別発言をします。
しかし、ビッキーから
「人間はいつだって、自分中心。けれど、あいつら(宇宙人)からしたら、お前たちこそモンスターだ」と、辛辣な文句を返されます。

一見、チーム一のエリートが、その実一番未熟者。
むしろ、無駄にエリート意識が高い分だけ、物事を見る視野が他のメンバーより狭くて曇っている。

スカイのような輝かしいものなど持っていない裏通りの情報屋・ビッキーの方が物事の真理をきちんとわかっている。

やっぱ、あれだよね。
通知表がいい人が、必ずしも優秀なわけじゃない。
エリート街道歩いてるだけじゃ、いっぺんとおりの物しか見えない危険がある。
「自分と違うところがあるからといって、人をむやみに差別してはならない」という当たり前のことさえ、見逃してしまうときがある。

と、子供向け番組ですが、きちんとメッセージ性があっていいなと思ってみておりました。

物語の中で成長していくスカイ

15話のラスト、ドリンクを出す機械が動かないことに腹を立てたスカイは
「このロボット使えねえ」とこぼしますが、ソフィーに「使えないってのはそういうつもりじゃ…」と、ちゃんとフォローしようとする。
少し、成長した模様です。

個人的には、レンジャー5人の中では、イエローレンジャーのジーが好きです。
クールで利発で、でも温かい女の子。
戦うときのキリッとした表情もかっこいいいです。

というわけで、「パワーレンジャーS.P.D」毎週楽しみにしております。

ただね。
最後に流れる吹き替え声優さんたちのメッセージ。
あれだけは、どうにも内輪なノリで、どうかなあと思うわ。

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この記事を書いた人

映画、音楽、文房具をこよなく愛するフリーライター。趣味はヴァイオリン。
執筆、取材等のご依頼はお問い合わせからか、startofall@gmail.comまでご連絡ください。

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