ごきげんよう、ライターの愛(@ai_writer)です。
石ノ森章太郎先生の作品を考察する「石ノ森マニアクス」~今回は、「009」の劇場作品第一作目の『サイボーグ009』をご紹介したいと思います。
・公開時間:1時間3分
・監督:芹川有吾
・声の出演:太田博之, ジュディ・オング、曽我町子他
『サイボーグ009』あらすじ
レーサーの島村ジョーは、レースの最中に車をぶつけ、何者かに連れ去られてしまう。
目が覚めたジョーがいたのは、幽霊島の地下工場。彼は、島を本拠地とする悪の組織・ブラックゴーストによってサイボーグ戦士「009」に改造されたのだった。同じく改造された戦士たちとともにブラックゴーストに反旗を翻し、ギルモア博士とともに幽霊島を脱出する009。
世界を戦争の混乱の渦に陥れようとするブラックゴーストに立ち向かう9人のサイボーグ戦士たち。003、006、007を引き連れて戦場へ向かった009。しかし、003が敵に捕まってしまい……
『サイボーグ009』レビュー
石ノ森先生の漫画そのものの映像
なんやかんやで、劇場版もいろいろと作られている『サイボーグ009』。本作がその記念すべき第1作です。
1966年公開作なので、絵柄もろもろすべてレトロな雰囲気ですが、それになんだかものすごく安心感を覚えてしまいました。
だって、出て来る映像はまさに、石ノ森先生の漫画そのもの。昔ながらの漫画の『009』がそのまま動いているみたい。
昔の映像だから、ある意味ひどく原始的ではあるんだけれど、もしかしたら、漫画のアニメ化という意味では、最も正しい姿かもしれないと思いました。
こういう映像でのアニメ化は、今となっては、「あえて狙って作る」タイプのやつしか出てこないと思う。そう考えると、なんだか貴重なものを失った気持ちにもなります。
とはいっても、009の身体の内部の改造図の場面などは、ひどく精巧な改造人間のボディが登場しているし、レトロな映像だけれど、石ノ森先生じこみの重厚な作画は素晴らしいです。
9人のサイボーグ戦士たちのキャラクターは?
サイボーグ戦士たちも、今のあれこれ進化する前の、プリミティブなスタイル。
今でこそ、イケメンになってる002や004も決してかっこよくはなく、特に004はシニカルさだけが相当前に出ているキャラクター。この当時は、女性人気は高くなかったかもね。とはいえ、004は武器をフル活用して戦ってるし、002はジョーの手をとって空を飛ぶ。やはり、バトルシーンでは、この二人が華です。
007は大きく設定が変わって、小さな男の子に。昔のアニメでよく出てくるヒーローの弟分的な少年キャラクターになっています。
曽我町子さんの声がよくはまっていたし、当時人気もあったみたいですね。わかります。やんちゃでかわいい等身大の男の子だから、当時の子供たちの共感を得たろうなと思う。
005と006は、このときから、今に至るのとそれほど変わらないキャラクター。張々湖さんは、喋り方に多少の違いはあっても、本当にいつもキャラ変わらないなあ。
そして、「009」において、数々のアニメや映画を通して、一番キャラ変が激しいと私が思っているのが、008ことピュンマ。
ゼロゼロナンバーの実質最後に来る戦士で、得意なフィールドが水中という制限があるので、いつもなんか冷遇されてて出番も決して多くはなくて、そして、作品ごとにキャラが変わる。
この第1作の彼は、渋い声の内海賢二さんが声をあてているせいか、近年のピュンマよりも比較的おっさんくさいです。おそらく「青年」ではあるのだろうけれど、ジェットやハインリヒとはまた違ったキャラクターにするために、この渋さに落ち着いたのかもしれないですね。
そして、時代が変わっても作風がかわっても、この二人だけはいつもその二人のままであるのが、009と003。
この最初の作品から、りりしくかっこいい島村ジョー、そして、女性らしくて芯は強いフランソワーズ。
二人は、いつでも美男美女のベストカップル。それで、いいと思う。
この二人の愛情と絆が変わらないでいることも、この作品の魅力の一つです。
ただ、一個気がついたんですが、この作品、009、あれをやってないです。彼だけがもっているあの装置の名前を叫んでいない。
誰よりも早く走ったり飛んだりはしてるんですけどね。ええ。
彼らの戦いはここから始まる
本作のラストで、ブラックゴーストを倒し、ジョーはレーサーに、フランソワーズはバレリーナにとそれぞれの生活へ戻っていくサイボーグ戦士たち。
けれど、彼らの戦いはこれで終わりじゃない。
世界の平和を揺るがす者が現れたとき、サイボーグ戦士たちはまた戦いの場に戻ってくる。
彼らの誰がための戦いはここから始まったのです。
『サイボーグ009』映画第1作目は、Amazonビデオで配信中。Prime会員は無料視聴できます。
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