『いつかは賢いレジデント生活』完走!未熟な医師たちのリアルに心動かされたりイラついたり。

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韓国ドラマ『いつかは賢いレジデント生活』全12話完走しました。

『賢い医師生活』スピンオフ 未熟なレジデントたちが奮闘する一年間

『賢い医師生活』シリーズのスピンオフである本作。本家『賢い医師~』が既に准教授、副教授クラスの優秀な5人の医師の物語だったのに対し、こちらは分院の産婦人科で働くまだまだ未熟なレジデント1年目の医師たちの奮戦記。

個人的な感想としては、まず、キャラクターの設定や造形がしっかりしているキャラクターと、必ずしもそうでないキャラクターがいたなあ……というのがありました。

ドラマのメインキャストは以下の4人。

・かつてクリニック勤務で挫折するも、家庭の事情で働かざるをえなくなり、レジデントとして医師に復帰したオ・イヨン

・イヨンの高校の同級生で、おしゃれや流行に敏感なピョ・ナムギョン

・大学も国家試験も首席で卒業した秀才のキム・サビ

・アイドルグループのメンバーから医師に転身したオム・ジェイル

この中で一番キャラクターがしっかり描かれていたのは、サビだったと思います。

首席で学校を卒業したいわゆるお勉強できる子ちゃん。テスト問題で100点はとれるけど、教科書に書かれていないことへの対応が不得手。患者さんの微細な感情が理解できず、良くも悪くも空気読めないやらかしを繰り返していました。

サビの姿を見ていて、「こういう子実際にいるよなあ」と思いましたね。
机上の学習万全で自分はできると思っていた彼女が、医療の現場でマニュアルが通用しない厳しさに揉まれていく。その姿は非常にリアリティがありました。おそらく、脚本家もこのサビをきっちり描きたかったんじゃないかと思います。

他には、アイドル出身のジェイルもよかったです。

単純でちょいおバカなので行く先々で失敗したり怒られたりしていましたが、そんな中でもできるかぎり患者さんに寄り添おうとする心根の良さがあったジェイル。さわやかな笑顔と人当たりのよさが「賢い~」のイクジュンを思わせなくもないので、15年後くらいにはイクジュンみたいないいお医者さんになってるかもしれませんね。

一方、上記の二人と比べて、うーん、少しキャラ造形がぼやけてるかな?と思ったのがイヨンとナムギョン。

ナムギョンは最初おしゃれや恋も大好きな今どきの女の子、という感じで出てきたのですが、思っていたほどミーハーではなく、むしろ一番如才なく医師の仕事をしていた気がします。ただ、その一方で恋人に対してはだいぶ傍若無人に振る舞っていた感じもあって。
この子は結局軽薄なのか真面目なのか?と最後までキャラクターが掴めなかったですね。
とはいえ、患者さんと向き合っていく姿は彼女が一番リアリティがありました。挫けそうになったり逃げ出したくなったりしても、医師としてなんとか立ち向かおうとする姿がとてもよかったです。

そして、申し訳ないが、うーんもう少しキャラクターをうまく作れなかったのかな?と思ってしまったのが、主役のイヨンでした。

家庭の事情で病院で働かなくてはいけなくなった彼女は、いつも医局であくびをして、とにかくやる気がない印象。ただ、医師としての腕は悪くないようで、緊急な場面でもそれなりに適切な対応をしていくので、先輩や教授からも認められるようになっていきます。

なので、彼女については、仕事を続けていく中で医師の仕事にやりがいを見出していく……というベタな展開で全然よかったと思うのですが、そこを妙に斜に構えた描写にしすぎていた気がします。
いい仕事をして頑張って、でもその次の回で再び盛大にあくびをするのがお約束だったイヨン。正直そこにちょっとイラつきました。「一体この子はどういうつもりで仕事してんだろう?」「せめて、あくびするときに口に手をあてようよ…」のように、お局様的な感情がわいてしまいました。

まあ、あくまでも「いつかは賢いレジデント」の物語なのでなので、イヨンが賢くなるのはまだまだ遠い未来の「いつか」ということかもしれないけれど。

圧倒的にかっこよかった!ソ教授

登場キャラクターの中で一番好きだったのは、レジデントたちを指導する産婦人科の女医・ソ教授でした。

「鬼婆」のあだ名の通り、怒ると怖いソ教授。でも、厳しいのは医師の仕事に誇りを持っているからこそのこと。いつも毅然としていて、手術をてきぱきこなす姿が本当にかっこよかったです。自分が病院に行くなら、願わくばああいうプロ意識の高いお医者さんに診ていただきたい、と本当に思いました。

ドラマの中で、「賢い~」の99ズことメイン5人の同期であることも明かされたソ教授。このスピンオフでは彼女がまさに「賢い医師」だったと思います。

「賢い医師生活」を先に履修してから見るのがおすすめ

(以下、少し詳細なネタバレがあります。ご注意ください)

ここまで書いてきたように、ツッコミ入れたくなるキャラクターもいましたが、
一方さすが「賢い医師生活」シリーズと思わせる、名セリフや名場面もいっぱいありました。

特にソ教授と並んで「賢い医師」であったリュ教授の言葉は忘れられないものになりました。病気になったことを恥じる患者さんに「病気になった原因は、頑張ったからです」と寄り添う姿は本当に胸を打たれました。

ソ教授やリュ教授、そして、レジデント4人の兄貴分となったク先生を別にすれば、本家「賢い」のような医師の包容力を見せてくれる部分は少なかったけれど、未熟なレジデントたちを通して、医師の仕事の厳しさ、そして尊さを垣間見せてくれたドラマ、それなりに楽しかったです。
毎回、「賢い医師~」の誰かがカメオ出演してくれるのも嬉しかった。特に最終回で99ズのソッキョンが登場したときの安心感たらなかったですね。

というわけで、こちらは「賢い医師生活」を履修してから見るのをおすすめしたいです。

カメオ出演にワクワクできるからというのもありますが、何より「賢い医師~」を先に見ておいたほうが、このドラマの序盤のレジデントたちのだめっぷりに対するイライラがちょっと減ると思います(笑)。

「賢い医師~」の方は本当に賢い優秀な医師たちのドラマなので、それと比較することで、こっちはあれよりも全然キャリアのない子たちなのだから……と理性的に受けとめられるはずです。

「賢い医師生活」第3シリーズ、あるかないかはわかりませんが、こちらも期待して待ちたいですね。

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この記事を書いた人

映画、音楽、文房具をこよなく愛するフリーライター。趣味はヴァイオリン。
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