ベートーヴェンの第九は、「バベルの塔」みたいなものなんだと、いつごろからか思うようになってました。
あの曲を作ることで、ベートーヴェンは神の領域に行こうとしたんだと思う。彼の人生最大の挑戦だったに違いない。
弾きながら、ほんと、よくこんなもん作りやがったなと思います。本当に難しい。
その難しさが、技術的なものだけだけったら、まだいいのですが、それだけじゃない。曲を理解しようとしても、どうにもできない。
この曲を自分の体の中に入れていくことなど、到底不可能なんじゃないかと途方に暮れるばかりです。
なので。
「バベルの塔」みたいな代物をそもそも、凡人が完璧に仕上げることなんぞ無理に違いないのです。
ただ、オーケストラをやってる者にとって、「この曲をやらずには死ねない」と誰もが思う曲があるとしたら、やはり第九だと思われる。
だから、第九はやることそのものに意義がある。それでいいじゃん。
と、第九を練習しながら、ときどき思うことにしようと思います。
そうでないと、なんせ、自分がつらくなるので。
正直、今回取り組む第九の演奏は、個人的にいろいろとプレッシャーがあって、かなりきついのです。
自分をいじめないように、できるだけ気を付けているんだけど、
ちょっと自分が弱くなると、もう逃げ出したくなる。
なので、できるだけ気楽にしておきたいのです。
一応、自分にできる限りの練習はしているつもりです。
今日も4楽章のできないところと、1楽章全部をがっつりさらいました。
なので、どうにもつらくなったら、第九は「バベルの塔」だから、上りきれなくても当たり前と思うことにします。
そもそも、自分、バビル2世でもないので。
三匹のしもべでもいてくれたら、心強いのかもしれないけどさ。