ごきげんよう、ライターの愛(@ai_writer)です。
先だって、アニメ放送が終了した「彼方のアストラ」
めちゃくちゃ、はまりました!
もう本当に毎回毎回ワクワクしてドキドキして、笑って泣いて、夢中になってみた全12話。
というわけで、今回は、『彼方のアストラ』愛のままに語りたいと思います。
『彼方のアストラ』のあらすじと登場人物
まず、『彼方のアストラ』どんな物語かを説明しておきますね。
<あらすじ>
惑星キャンプに参加したケアード高校の生徒たち。8人の高校生+10歳の少女。通称「B5班」。
目的地・惑星マクパを訪れるも、突如、謎の球体が現れて飲み込まれてしまった彼ら。宇宙空間に放り出されてしまう。しかし、無人の宇宙船を発見して九死に一生を得る。
故郷から何万光年も離れた宇宙に遭難してしまった生徒たち。しかし、いくつもの惑星をめぐり食料を確保しながら故郷に戻るルートを見出し、「アストラ号」と名付けた宇宙船で故郷を目指す旅に出る。
ところが、旅が始まって最初に訪れた惑星で、再びあの不思議な球体に襲われてしまう。さらにアストラ号の通信機が意図的に壊されていたこともわかり、帰還を阻止しようとする「刺客」がメンバーに潜むことが判明。
「刺客」はいったい誰なのか。見えない敵への不安を覚えながらも、アストラ号のクルーたちは少しずつ結束を固めて、航路を進めていく―――。
<登場人物>
カナタ・ホシジマ
主人公。陸上十種競技の選手で運動能力が高い。
熱血漢でリーダーシップがあり、B5班のキャプテンとしてメンバーを引っ張っていく。戦うときに必殺技名を叫ぶなど、かなり痛いところも。
アリエス・スプリング
ヒロイン。オッドアイが印象的な少女。一度見たものを忘れない映像記憶能力を持つ。
天然ボケで言葉を言い間違えることが多い。
ザック・ウォーカー
IQ200 の天才少年。宇宙船の操縦免許所持者でメカに強い。冷静沈着で無表情だが、ときおり真顔で本音を言ってみんなをそわそわさせる。父は研究者。
キトリ―・ラファエリ
大病院を経営する女医の娘。母の後を継ぐために医学を学んでいる。わがままで意地っ張りだが、仲間と接するうちに素直になっていく。義妹のフニシアをつれてキャンプに参加した。ザックとは幼なじみ。
シャルス・ラクロワ
金髪碧眼のさわやかな美少年。生物と植物の知識が豊富で、料理を担当。温厚で誰に対しても優しいが、度を越した生物オタクぶりでときどき周りを引かせている。王政がしかれているヴィクシア地区の出身
ルカ・エスポジト
明るくお気楽な性格の少年。手先が器用で物作りが好き。狩猟用の武器作りなどを担う。父親は政治家。
ウルガー・ツヴァイク
群れるのを嫌う一匹狼。仲間たちとなかなか打ち解けなかったが、ある事件をきっかけに心を開いていく。射撃がうまい。父親はケアード高校の教頭。
ユンファ・ルー
大柄な眼鏡をかけた引っ込み思案の少女。自身に引け目を感じていたが、実は有名な歌手の娘で歌が得意。旅の最中に歌を披露したことで自信を取り戻していく。
フニシア・ラファエリ
愛称は「フニ」。「10歳の少女を同行させる」という課題がB5班に課せられたため、義姉のキトリ―とともにキャンプに参加。思っていることをアニメ風にしゃべるパペット「ビーゴ」を持っている。キトリ―の母の知人の娘でラファエリ家の養女になったが、見た目はキトリ―とほぼ瓜二つ。
『彼方のアストラ』は、ジュブナイル、SF、ミステリーが絶妙に融合した傑作
人間味のあるB5班のメンバーが大好き
今年のマンガ大賞受賞作品ということで、それならば、大ハズレはないだろうから、とりあえず見てみよう…と軽い気持ちで見始めた『彼方のアストラ』
ぶっちゃけると、第1話の最初の最初は、うーん…とも思ったんですよ。
無駄に熱い主人公(カナタ)とか
ドジっ子天然系ヒロイン(アリエス)とか
ツンデレなお嬢様(キトリ―)とか
目つきの悪いひねくれ男子(ウルガー)とか
そう、わりといかにもな定型的なキャラが集まっている感じがしちゃったんですね。
しかし、今思えば、そんな第一印象持ってごめんなさいでしたよ。
1話、2話、3話と見続けていくうちに、物語の面白さやキャラクターの魅力にどんどん引き込まれて、いつしか夢中になっていた。
最初こそ定型的と思ってしまったB5班のメンバーですが、みな若干ワケありな育ち方をしていて、旅の中で彼らの生い立ちや心の傷が明らかになっていきます。
たとえば、最初はただただわがままで生意気な女の子に見えたキトリ―ですが、義妹のフニに危機が訪れたとき、誰よりも心配して泣き出すのを見て、ああ、この子は意地っ張りの奥ですごく愛情に飢えていて、でも、本当は誰かに愛情をあげたかったんだなあっていうのがよくわかった。
他にも、ひねくれ者のウルガーが人嫌いになってしまった理由とか、一番お気楽そうなルカが背負っている過酷な運命とか、彼らのバックボーンが語られるほどに、みんながどんどん人間味のあるキャラクターになっていき、共感を覚えた。
気が付いたら、B5班のみんながみんな大好きになっていて、彼らが一人も欠けることなく無事に帰還できますように…と本気で祈っていましたね。
伏線をしっかりと回収している傑作ミステリー
『彼方のアストラ』は、SFジュブナイルであると同時にミステリーでもあります。
そもそもB5班のメンバーはなぜ、謎の球体に襲われて、宇宙空間に放り出されなければならなかったのか。
彼らの帰還を阻止しようとする、仲間の内の「刺客」は誰なのか。
この二つの謎を解く方向で物語が進み、そこにメンバーの生い立ちなどが絡み合うことで、やがて話が尋常ではないシリアスな方向へ展開します。
そして、あちこちで言われていることですが、物語の中にたくさんの伏線が張りめぐらされていて、しかも物語の中で次々にそれが回収されていくさまがただただ見事。
謎が明らかになっていく過程で、過去のストーリーや特定の場面が思い出されてハッとするんですよ。「ああ、あれはそういうことだったんだ」「そういえばあのとき〇〇だったけど、こういうことだったのね!」って何度思ったことか。
作者が本当に緻密にしっかりと伏線をはり、しかもそれを回収していて、謎が解き明かされるたびに物語が複雑になりスケールも大きくなっていって、ドキドキワクワク感が増すばかりだった。
パっと見はSF友情ドラマだけど、実は壮大なスケールの未来SFミステリー。ものすごく見ごたえのあるストーリーでした。
伏線が回収されていのがあまりに面白いので、いつの間にか「絶対ネタバレしたくない!」って思って、原作の先読みもやめたし、ネットのネタバレ情報とかも絶対見ないし読まない!と心に決めて、ただただアニメ見るのを楽しみに待っていました。
なお、一つ、アニメならではの伏線というのもあったかなと思うのが、ルカのキャスト。最初のうちは、なぜこの声なんだろう?とちょっと疑問だったんですよね。でも、それもしっかり理由があって、わかったときにそうだったのか…とすごく納得がいきました。
そして、伏線は物語だけじゃなくタイトルの『彼方のアストラ』にもはられています。
物語の終盤でこのタイトル、そういうことだったんだ…とわかったときは、本当やられたーって思いましたね。
SFジュブナイル名作へのオマージュが散りばめられている
『彼方のアストラ』は、さまざまなSF作品へのオマージュがこもった作品と言われているのですが、見たときに萩尾望都さんの『11人いる!」の影響をかなり受けていると感じました。
宇宙大学の試験を受けるため宇宙船に乗り込んだ学生たち。10人で1チームのはずなのに、船の中にいたのは11人。11人目が誰なのかわからず、不安や疑惑が渦巻く中で宇宙でのサバイバルに挑む若者たちのドラマを描いた「11人いる!」。
アストラ号でも仲間たちの中に「刺客」がいて、それが誰なのかわからない…という不安の中で宇宙船でのサバイバル航海を続けていくわけで、刺客云々て話になったとき、たぶん「11人いる!」のオマージュだなと思った。
さらに、B5班のキャラクターの一人に「11人いる!」の学生の一人と相当に被る設定を持った子がいて、これはもう絶対「11人いる!」の影響だろうなと思いました。
あとは、私は藤子・F・不二雄さんの『宇宙船製造法』くらいしかわからなかったんですけれど、たぶん、他にも影響が反映されているSF作品があるみたいです。
『彼方のアストラ』は歴史に名を残す名作になるに違いない
前述した『11人いる!』と『宇宙船製造法』が、SFジュブナイルの傑作だと個人的に思っているのですが、この2つに『彼方のアストラ』を加えて計3作が、私の中でSFジュブナイルの三大傑作マンガになりました。
先だって、テレビアニメが終了したばかりですが、何年かしたらまたリメイクされたり、劇場作品が作られたりもするんじゃないかな。彼方の未来に、手塚さんや石ノ森さん、萩尾さん、竹宮さんらのSF作品と並び賞賛されるようになっているはず。SFマンガの歴史に名を残す名作になると思います。
それぐらい、本当に本当に最初から最後まで面白かったです。
ただ、個人的に一つだけ気になっていることがあります。
作品最後まで見た人しかわからない話ですが、ウルガーの本命は、あの子とあの子、果たしてどっちなんでしょうね。
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