アニメ「私のあしながおじさん」感想~原作を素敵に昇華した成長と恋のストーリー

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ここのところ、YouTubeで配信されているアニメ「私のあしながおじさん」にドはまりして、1日に2~3本見て2週間くらいで全話一気見してしまいました。

いやー、面白かった。

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ジーン・ウェブスターの傑作小説をアニメ化した「私のあしながおじさん」

アニメ「私のあしながおじさん」は、アメリカの小説家、ジーン・ウェブスターの小説「あしながおじさん」をアニメ化したもの。

「あしながおじさん」は、知らない人のほうが少ない名作小説だと思うのですが、万一知らない方のために、念押ししときますと、これは傑作!です。

孤児院で育った天涯孤独な少女・ジュディ・アボットが、謎の紳士「あしながおじさん」に作家の才能を見出されて、大学へ進学。学費や生活費の援助を受ける代わりに、毎月手紙を書くように言われ、ジュディがあしながおじさんに宛てて書く書簡の形式で、彼女の大学生活、友情、そして恋の物語が描かれています。

私は、小学生の頃にこの物語に出逢って、それからもうずっとずっと大好きな作品。

勉強して遊んで恋をして青春を満喫するジュディの大学生活がすごく生き生きと描かれていてすごく憧れた。「あしながおじさん」と「赤毛のアン」なくして、私の人生はありえないというくらいに、人生の中で特に大切な書籍になっています。

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主人公・孤児のジュディが自分の過去を乗り越える物語

アニメ「私のあしながおじさん」では、原作よりも主人公の年齢を下げて、大学ではなく、名門女子高校「リンカーン記念女学院」に進学してハイスクールライフを送るジュディの生活が描かれます。

見始めて数話で強く感じたのが、主人公のジュディが原作よりもかなり感情の起伏が激しい女の子になっていること。

明朗活発なのは原作と一緒なのですが、加えて、アニメでは、ジュディの孤独=孤児院出身であることのコンプレックスが全面に押し出されて描かれています。

孤児院を出て高校という新たな世界にやってきたジュディは、見るもの聞くものすべてが新鮮で仕方ない。

お小遣いで自分のために買い物をすることやアイスクリームのデザートがついた学食、好きなだけ本が読める図書室など、何もかもにはしゃぐ彼女は、名門のお嬢様揃いの女子学院でちょっと浮いてしまう場面もありましたが、持ち前の明るさや文才を発揮して、ルームメイトのサリー、ジュリアをはじめとする学友たちと次第に友情を築いていきます。

ただ、学校になじんでいく中でも、孤児院出身のコンプレックスは決して彼女の中から拭えない。

孤児であることを知られたくなくて、懸命に周りと同じ女の子のようにふるまいながら、ときおりふとしたことで孤児院時代の劣等感が蘇って、そのたびに激しく落ち込むジュディの姿がすごく印象的でした。

一つ例を挙げると、孤児院時代のトラウマで、ジュディは施しや傲慢なお金持ちを極端に嫌っている。だから、友人のサリーがある孤児院のために慈善活動を行おうとするのを受け入れられなかった。サリーの方は優しく真面目な気持ちで良いことをしようとしていて貧しい人をバカにするつもりもまったくないだけに、ジュディもそこまで拒否しなくても…とさすがに思いましたね。

ただ、そんな彼女が恋をしたのは、とてもお金持ちの男性。ジュリアの叔父様であるジャーヴィス・ペンデルトン。

お金持ちなのに気取らず気さくで優しいジャーヴィスにジュディはどんどん惹かれていき、二人は愛し合うようになります。

しかし、仲が深まりかけるとき、再び、孤児院のコンプレックスが彼女を襲う。孤児である自分は上流階級のジャーヴィスにふさわしくない、最初から住む世界が違う…と、物語の終盤のジュディはひどく苦しみます。

相手のジャーヴィスにとっては、ジュディの生まれなどはどうでもいいことで、ジュディはあくまでも自分自身のコンプレックスにとらわれているにすぎないんですが、彼女にとっては親から捨てられた孤児であることは深い悲しみであり、感情の起伏が激しいジュディの様子から、彼女の葛藤がすごく伝わってきます。

ジュディの成長と恋とともに、コンプレックスとの戦いが大きな軸になっているこのアニメ。孤児であることの葛藤を彼女がどう乗り越えていくかが終盤の見どころになっていて、これがすごく感動的。原作にはない展開・結末なんですが、とてもすがすがしくて、見事な改変の成功例だと思います。

原作よりも素敵なレディとして描かれたジュディの友人・ジュリア

「私のあしながおじさん」で、原作から改変されたのは主人公のジュディだけではありません。

もう1人、原作から大幅に変わった、そして一番進化したキャラクターがジュディのルームメイトのジュリア・ペンデルトン。

原作のジュリアは、ジュディの友人の一人でお金持ちの気取り屋のお嬢さんという以上に、さほど深く掘り下げられてはいません。

アニメのジュリアも、最初はお高くとまったお嬢様。ジュディに対しては何かにつけてバカにしたりつんけんしたりして、自分たちと明らかに育ちが違う感のあるジュディの生い立ちを暴こうとしたこともありました。

しかし、一緒に学院生活を送るうちに少しずつジュディとも打ち解けていく。そして、ジュリアの大きなターニングポイントは、サリーの兄・ジミーに恋をしたこと。

ジミーに振り向いてほしくて、積極的にアタックするジュリア。ただ、ジミーが好きなのはジュディなので、なかなか相手にしてもらえない。そして、もう一つ彼女の恋路を邪魔するのが、他でもない彼女のお金持ちの家柄。

ジミーに会えるはずだったときに、親のパーティのために家に連れ戻されたり、挙句に親の仕事のために不動産王の息子と結婚させられそうになってしまうジュリア。

ジュディとはまた違う形で恋に苦しむジュリアですが、自分の現実と向き合いながら、その中で一皮もニ皮も向けていく。そして、苦しいときをわかちあったジュディと本当の意味での親友になっていきます。

アニメのジュリアは物語が進む中で、友情と恋に目覚めてどんどん素敵なレディに成長した。これもまた本当によくできた改変だったと思う。原作とはまた違うけれど、原作を好きな方はこのアニメのジュリアもきっと好きになれると思います。

多感な少女たちをえがいた良質なアニメ

「私のあしながおじさん」は、よい作品揃いで知られる「世界名作劇場」の作品ですが、全40話本当に面白かったです。

ジュディをはじめ女子学院で過ごす多感な時期の女の子たちの成長、友情を丁寧に描いていて、出てくるキャラクターの一人一人がすごく生き生きしていた。

ジュディ、ジュリアだけじゃなく、もう一人の親友、サリーはすごくいい子だし、女の子たちの恋のお相手のジャーヴィス、ジミー、ボブ(サリーのボーイフレンド)もいい男たち。そして、厳しい中にも愛情がある孤児院のリペット院長先生や、学院の国語教師のメルノア先生、寮監のミス・スローンらジュディの恩師も素敵な人たちばかり。

すごく良質な楽しいアニメ作品でした。

今、YouTubeの「Animeログ」で全話無料で見られるので、よかったらぜひ見てみてください。この「Animeログ」は世界名作劇場を他にもいろいろ配信していて「愛少女ポリアンナ物語」や「牧の少女カトリ」なんかも見られますよ。

個人的には、次は「トラップ一家物語」が見たいんだけど、やってくれないだろうか。


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この記事を書いた人

映画、音楽、文房具をこよなく愛するフリーライター。趣味はヴァイオリン。
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