
タイトルの疑問は、飛石連休の藤井さんのYouTubeでもとカリカのマンボウやしろさんが話してたことから。
解散してピンになったとき、「どう考えても二人のほうがウケるのになんで一人でやらないといけないんだろう」と考えたというやしろさん。
うん、たしかにね。私、芸人じゃないけどすごいわかる。
漫才って、あれは非常によくできた形だと思うのです。片方がボケる。とことんおかしなことを言い出してやりだして逸脱していく。対して隣にいるもう片方が見ているお客さんの気持ちを代弁して突っ込む。
面白い予想外のことを見て笑って、それおかしいよって見てる側が思っていることも言葉にしてきちんと客席を巻き込みつつも舞台上で完結させる。笑わせてすっきりさせてくれる実に素晴らしい完成体のお笑いです。
そして、コント。こちらは時折コンビよりトリオのが有利だよなと思う。人数が多いほど登場人物が増やせて舞台が広く使えるし、お話も広げられる。その最たるわかりやすい例が東京03といえるでしょう。
コンビに比べてボケと突っ込みを成立させるのが難しい。トリオのように舞台を広く使えない。ピンネタにはたしかにそういうハンデはあると思います。
何よりたったひとりで舞台に立つって、すごく大変です。ちょっと違うかもだけど、私自身、長年オーケストラでヴァイオリン弾いてて、レッスンの発表会で一人で舞台で弾くってなったら、緊張の度合いが後者の方が全然大きかった。失敗してもカバーしてくれる仲間がいない一人の舞台。どれだけプレッシャーがあったことか。
なので、ピンネタはコンビやトリオに比べて不利というやしろさんの言葉、たしかにそうだとうなずくところがありました。
でもね。だからといってピンネタやらない方がいいなんてことは絶対ないと思うのです。ピンネタにはピンネタの大いなる価値があります。
ピンネタで特に貴重だと思うのは漫談。舞台に一人で立ってマイク1本だけでネタをやりきるって、最高にかっこよくないですか?
ピン芸人の祭典「R1グランプリ」の決勝でも、マイク1本で戦った猛者の歴史があります。チャンピオンになったあべこうじさんや濱田祐太郎さん、ファイナリストとして戦ったナオユキさんやキャプテン渡辺。小細工なしにしゃべくりで戦った彼らの潔さは今でもよく覚えてます。
カバーしあえる相手がいないピンネタは本当きついだろうし、不利なときもあるでしょう。でも、だからこそというか、舞台で一人で戦いきったピン芸人さんの凄味は、コンビやトリオには絶対得られないすごいものなんじゃないかと思います。
だから、毎年「R1」の決勝の時期が来るたび思います。今年の決勝は漫談の人見れるのかなって。ここ数年、あまりそういう人が上がってこない流れが正直物足りないです。
次回の「R1」ではぜひマイク1本で戦うファイナリストが出てくることを願ってます。